“癒し”をテーマにしたカバーアルバムをリリースする井上和彦さんにインタビュー

2011年 10月 11日 16:07


試行錯誤しながら、時間をかけて作ってきました

声優・井上和彦さんが、2012年2月にカバーアルバム「Iyashion~癒し音~」をリリースします。

アルバムのタイトルからも感じ取れるように、“癒し”をテーマにアルバムを制作したという井上さん。井上さん自身が選んだ7曲のカバーソングに加え、東日本大震災の被災地支援のため、声優仲間と結成したユニット・声援団のテーマソング「君に送る応援歌」と「笑顔戻るまで」のオリジナルソングを2曲収録。計9曲が収録されたアルバムになっています。

今回、レコーディング終了後、井上さんにインタビュー。カバーアルバムにした理由や思い入れのある曲、そして声援団のテーマソングについてなど、たっぷりとお話を伺いました。

――まずは、レコーディングを終えての感想をお願いします。

p1210472 井上さん:結構、苦労しています(苦笑)。(アニメやゲームの)キャラクターソングだと、スタジオで1曲録り終えるのに1時間くらいで終了することが多いのですが、今回は1曲にあたり、だいたい2時間~3時間くらいかかっています。アルバムを聞く人の多くが知っている歌である分、歌詞に込められた意味に、自分の想いをどう乗せて、どう伝えようか?というのを歌う前はもちろん、歌いながらも考えています。その分、何回も歌い直しをして、「さっきはこうだったから、次はああいう方向性で歌ってみよう」とか、ディレクターと話し合いながらレコーディングをしました。

聞いた人に“癒されてほしい”という気持ちをちゃんと受け取ってもらえるか、聞きながら癒されてくれるか?というのが今回のアルバムの一番の目的ですので、とにかく試行錯誤しながら、時間をかけてやっています。

微妙なニュアンスが求められるので、ただ元気がよければいい、優しければいいという感じではなく、もっと何か違う方向にならないかな?と、もがきながらレコーディングしました(苦笑)。

――今回、何故カバーアルバムをリリースしようと思ったのでしょうか?

p1210487 井上さん:3月11日の東日本大震災の後、すぐに、声優仲間に声をかけて「声援団」という被災地支援のためのグループを結成して、支援活動を続けてきました。関東だけではなく、全国各地でチャリティーライブをやってきたのですが、その時にきっとこの歌ならみんな知っているだろうなと思う歌を何曲か歌ったんです。そうしたら、その歌に合わせて、聞いている皆さんが一緒になって歌ってくださって…その時、誰もが知っている歌=みんなで歌える歌っていいなって思ったんです。

耳なじみがある歌なら、イントロを聞いただけでパッとあの曲だ!ってわかるし、すぐに一緒に歌ってもらえるし。みんなに元気になってほしいし、癒されてほしいし、それならカバーアルバムを制作してみようと思い立って、制作を始めました。また、誰もが知っている歌を、井上和彦ならどう届けられるか、どう伝えられるかということに挑戦するという意味もありました。

――カバーされたのは7曲ありますが、この7曲を選んだ理由を教えてください。

井上さん:基本的に僕が好きな曲を選びました(笑)。僕が20代の頃から好きな曲も入っています。聞いて頂く方にちょっとでもリラックスしてほしいな、どういった曲ならリラックスしてもらえるかな?という思いで選びました。

――特に思い入れのある曲はありますか?

p1210470 井上さん:井上陽水さんの「帰れない二人」ですね。僕がまだ声優としての仕事もあまりなくて、アルバイトをいっぱいやっていた時に聞いていた曲です。夜遅くまでバイトをしていて、家に帰れなくなってしまい、バイト先の近くに住んでいる友達の家に泊まらせてもらったことがあるんです。その時、家に泊めてくれた友達がよく聞いていた曲なんですよ。だから、この曲を聞くと、その当時の思い出がよみがえってきて…甘酸っぱい思い出とか色々なことを思い出しますね。今回のカバーアルバムに絶対入れたいなと思った曲です。

他の曲についてですが、「夏夕空」は『夏目友人帳』のED、「歓送の歌」は『銀河英雄伝説』の曲です。自分がお仕事で関わらせていただいた作品の曲も入っています。

「千年前から見つめていた」は、20年くらい前にラジオから聞こえてきた曲で、聞いていていいなぁって思って、CD買って、車の中でいつも聞いていた曲なんです。実際にこの歌が歌えたらいいな…と思っていたんですけど、権利元さんにOKを頂けたので、すごくうれしかったですね。

真剣に歌で人を癒すことにチャレンジしています

――男性アーティストの歌が多い中、「secret base ~君がくれたもの~」と「ハナミズキ」は女性アーティストが歌っている歌です。こちらの歌を選んだ理由というのは?

p1210486 井上さん:この2曲は直感で選んだ歌なんですよ。もともと、聞いていていい歌だなと思っていたのですが、アルバム制作用に歌を選んでいた時、直感でこれを入れよう!ってなって。全曲選び終わった後に、改めてよく見たら、「secret base ~君がくれたもの~」は♪10年後の8月 また出会えるのを信じて~という歌詞があって、「ハナミズキ」は♪君と好きな人が100年続きますように~という歌詞だったんですよ。そして、「千年前から見つめていた」には♪千年前から 見つめていた~という歌詞。それに気づいたとき、鳥肌が立ちました(笑)。意図して選んだものではなかったんですけど、10年、100年、1000年と、見事に時代の流れが続くような楽曲を選んでいました。自分の気づかないところで何かの力が働いたのかなと思います。

――カバーアルバムということで、原曲にさまざまなアレンジを加えて歌っていらっしゃると思います。どのようなアレンジになっているのでしょうか?

井上さん:歌う時に僕が悩んでいるようにアレンジャーの方もすごく悩んでいますね(苦笑)。悩みながらも、とてもいい感じにアレンジしていただいています。僕も手探り状態の中、どうしたら癒しの音を作れるかと考えていますが、アレンジャーの方も原曲のイメージを損なわずに、聞いている人にどうしたら癒しを受け取ってもらえるかというところで、スタッフ全員が悩みながら制作しています。

今回、癒しをテーマにしていますが、癒しって、提供する方は大変なんだなって思いました(笑)。でも、どういう方向にしていこうかと一から考えて作るのは楽しいことですし、聞いてくれる方にいいものを届けられればいいなと思いながら、格闘しています(笑)

――どのようなアレンジが加えられているのか、カバー曲も楽しみですが、オリジナル曲である「笑顔戻るまで」「君に送る応援歌」についてもお聞かせください。

井上さん:声援団で活動していくと決めた時、一番最初に作ったのが「君に送る応援歌」です。遠くの人にいつも君のことを思っているよという思いを込めた曲です。活動は今後も続けていくつもりですが、じゃあその活動はいつまでなの?って、終わる日のことを考えますよね。いつまで被災地支援を続けるのか…?それに対して、「(支援は)笑顔が戻るまでだよ」という「君に送る応援歌」に対するアンサーソングが「笑顔戻るまで」です。いつ聞いていただいても構いませんが、ちょっとでも泣きたい瞬間や誰かに寄り添ってほしい時に聞いて頂けるといいかもしれません。「体は遠く離れているけど、心はいつもそばにいるから安心してね」という思いを伝えられたいいなと思っています。

ちなみに、「笑顔戻るまで」は歌が始まる前にセリフが入っています。そのセリフの中に「一緒に歌を聞こう 一緒に歌ってもいい」という一文があります。それは励ましの意味合いでもあるし、この歌はアルバムの1曲目でもあるので、「みんなが知っている歌を一緒に歌おう」という意味合いも含まれています。

――声援団のテーマソングとして多くのファンが知っている「君に送る応援歌」についても、詳しく教えて頂けますか?

p1210495 井上さん:3月11日の東日本大震災後の3月14日、僕の親しい声優仲間たちに連絡をして、「自分たちにできることは何かないか」と話し合ったんです。僕たちは声優だから、声を使ってみんなに元気になってもらうのが一番で、最初にできることはそういうことからかなと思い、翌日に集まれる人みんなで集まって、話し合いました。そこで、まずはメッセージを送ろうということになりました。でも、ただメッセージを送るだけじゃなくて歌も送れたらいいねという話になりまして。

ちょうど震災の影響で舞台が中止になって空いている劇場があったので、そこをお借りして、3月19日に動画メッセージと一緒に「君に送る応援歌」を歌う映像も撮りました。それをYou Tubeにすぐアップして、みなさんの目に触れたという感じです。被災地の方はいつ見られるかわからなかったですけど、応援している仲間がいるんだという想いをとにかく伝えたくて、あの歌を作りました。

――先ほどのお話にもありましたが、全国各地でチャリティーライブを行い、そこで「君に送る応援歌」を歌うこともあると思います。会場にいらっしゃる方々の様子というのはいかがですか?

井上さん:ライブ自体は、僕が高校生くらいの頃の…フォークソングがはやったころのノリなんですよ。楽器はギター、あとは歌だけというとてもシンプルなライブです。そのほかの楽器も電気を使わず、持ち運べる楽器をみんなで持ち寄ってやっています。だいぶ前ですが、宮城県の陸前高田市に炊き出しに行った時、この歌を歌ったんです。きっと「君に送る応援歌」を初めて聞いた方々ばかりだったかもしれませんが、僕らの思いが伝わったのか、聞きながら泣いて下さって。「また来てね」「これからも頑張るからね」って言ってくれたんです。すごいうれしかったですけど、その思いをこれからもずっとつなげていかないといけないなって強く思いました。

6月に行ったライブでは、ツイッターで「このライブには楽器持ってきてね」と呼びかけて、お客さんと一緒に合奏ライブをやりました。合唱だけではなく合奏もやっているんですよ、実は。また、来年は岡山、香川、鳥取でライブをしてもらえないかというお話を頂いています。

――ありがとうございました。では、最後にアルバムを楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

p1210482 井上さん:今、疲れている人がとても多くて、傷ついている人も多い。そんな中、自分に何かできないだろうかと思った時、僕の歌で皆さんの気持ちをちょっとでも楽にすることができればいいなと思い、この度、アルバムを制作しました。井上和彦が真剣に歌で人を癒すことにチャレンジしています。何回も聞いていただけるようなアルバムを、来年の発売に向け、ゆっくりと時間をかけて丁寧に作っています。ただ聞くだけでも構いませんし、一緒に歌って頂いても構いません。ぜひ、アルバムをお手にとって、聞いて頂き、癒されて頂ければと思います。

【Information】
「Iyashion~癒し音~」/井上和彦
2012年2月14日発売予定 3,150円(税込)

<収録楽曲>
笑顔戻るまで
歓送の歌
夏夕空
secret base ~君がくれたもの~
ハナミズキ
千年前から見つめていた
帰れない二人
BELIEVE
君に送る応援歌

【関連サイト】
B-Box

http://www.b-box-box.com/

井上和彦オフィシャルブログ「風まかせ」by Ameba

http://ameblo.jp/kazufan/

声援団オフィシャルブログ

http://ameblo.jp/seiendan/


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